ISKの金型整備
メンテンナンスサービス
ダイカスト金型やLP金型の金型メンテナンス範囲
ISKでは、ダイカスト(125TON〜3500TON)、LP(低圧鋳造)の金型に対し、精密なメンテナンスおよびオーバーホールを提供しています。各金型は異なる鋳造方式に対応しているため、メンテナンスのポイントや課題もそれぞれ異なります。製造現場におけるトラブルを未然に防ぐために、適切なメンテナンス計画が求められると同時に、高度な技術と設備が必要です。
金型メンテナンスの重要性
金型の状態は製品品質や生産コストに大きく影響します。特にダイカスト金型は高温高圧環境で使用されるため、摩耗や熱疲労が顕著であり、冷却性能の低下も引き起こしやすいです。ISKでは、各鋳造方式の特性に応じた最適なメンテナンス方法と、必要に応じたオーバーホールを提供し、各金型の性能を安定的に発揮させることで、生産効率や製品の安定供給をサポートしています。
整備
形状部のメンテナンスにプラスして、金型の不具合部の洗い出し&修正・型清掃・冷却部品チェック&交換・ダイスポ 合わせを行います。形状以外の整備も定期的に行う事で、冷却詰まりや鋳造中の不具合の軽減に繋がります。
各鋳造方式別メンテナンス
課題と対応技術
- ダイカスト金型(125TON〜3500TON)
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ダイカスト金型は精密部品の大量生産に利用されるため、長期間にわたり品質を維持するには、耐久性や冷却効率の維持が不可欠です。以下の点を重視してメンテナンスを行います。
冷却水路の清掃と再構築:冷却水路内にサビや汚れが蓄積すると冷却効率が低下し、型温度が不安定になります。ISKでは専用の除去装置を使用し、内部を完全に清掃。また、必要に応じて冷却水路の再構築を行い、冷却性能の最適化を図ります。
可動部品のオーバーホール:スライド部やトンネルピンなどは摩耗しやすく、定期的なオーバーホールが必要です。ISKでは摩耗部品の再加工や交換を行い、可動部品がスムーズに作動するよう整備します。
形状の熱疲労管理:熱疲労により金型表面に亀裂が入ることがあります。表面研磨や、必要に応じて溶射処理による表面再構築を施し、耐久性の延命化を実現します。
金型の整備・メンテナンス
3つのメリット
私たちは普段使用するあらゆる“モノ”。例えば、自動車は、車体の清掃やオイル交換、定期的な点検を行うことでより長く快適に乗り続けることができます。そんな自動車やオートバイを生産する設備である金型も適切な整備・メンテナンスを行うことは、生産性を向上させるメリットを得ることができます。
- 1.コスト削減
- 定期的なメンテナンスやオーバーホールにより、突発的な故障による生産停止を防ぎ、余分なコストの発生を抑制します。具体的には、更新型費用や後工程〔バフ・塗装〕、型トラブルによる段取り換え、生産計画の再構築、再鋳造などのコスト削減が見込まれます。
- 2.生産性の向上
- 金型が最適な状態に保たれることで、生産サイクルの効率や製品品質が向上し、不良品率が低減されます。また、オーバーホールによって金型の性能が回復するため、安定して生産が可能となります。
- 3.金型寿命の延長
- 早期の劣化発見と適切なメンテナンスを行うことで、金型の寿命を最大限に引き延ばし、長期的な投資効果を実現します。また、金型の製造が無い分、環境に優しく、SDGsへの取り組みにも繋がります。
金型メンテナンス
ISKの強み
専門性の高いメンテナンス技術
ISKでは、専門技術を駆使したメンテナンスおよびオーバーホール技術を提供し、以下のような高度なサービスを提供しています。
- レーザークリーニング
- ダイカスト金型の摩耗部や酸化皮膜を、レーザー技術で精密に除去し、表面を損傷することなく清掃します。
- プラズマ溶射・溶接
- 摩耗が進んだ金型にはプラズマ溶射や溶接を施し、表面を再構築します。これにより、耐久性を回復し、新品同様の性能を発揮できるように整備します。
- サンドブラスト・ショットピーニング
- 特に重度の劣化が見られる部位には、サンドブラストによる表面再加工やショットピーニングで表面を強化します。
オーバーホールの適切なタイミングとスケジュール管理
金型が一定のサイクルを超えると、オーバーホールが必要になります。ISKでは金型の使用履歴や摩耗状況に基づき、最適なオーバーホールのタイミングを提案しています。
- 定期点検と摩耗データ管理
- ISKでは、金型の摩耗や冷却効率などのデータを定期的に収集・分析し、金型の劣化傾向を把握します。
- 部品のライフサイクル管理
- 摩耗部品や冷却水路など、交換が必要な部品についてはライフサイクル管理を行い、事前の交換計画を立て、予期せぬダウンタイムを防止します。
- 耐久性を高める提案
- 金型の寿命を延ばすために、冷却効率を高める構造変更や、適切な潤滑剤の導入を提案します。
金型メンテナンスの意義と展望
ISKのメンテナンス事業は、ダイカストおよびLP金型の耐久性と生産効率の向上に寄与することを目的としています。最新の設備と熟練の技術者が、精密なメンテナンスとオーバーホールを通じて金型のパフォーマンスを最大限に引き出します。また、金型寿命の延命やコストの削減により、お客様のビジネス成長を長期的にサポートします。ISKでは、これからも鋳造産業に貢献するため、技術革新を続け、次世代のメンテナンスサービスを提供し続けます。
金型メンテナンスサービス表
整備メニュー | 整備内容 |
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形状復元 |
・摩耗部 ・変形部 ・ヒートチェック ・※アルミ焼付き箇所の除去・ミガキ ・※スポット冷却のSUSブッシュ化 |
金型清掃 | ・バラシ清掃 ・※金型表面に塗装 |
冷却点検&修正 |
・冷却穴の清掃 ・冷却漏れ点検 ・冷却ヘッド・継手・カプラ点検 ・ジェットクーラー点検 ・マニホールド点検 ・ホース:全て取替え(自給・支給共に可) ・※ホースナンバリング&番号順に並べ替え ・※冷却カプラをステンレスへ変更 |
部品点検&修正 |
・鋳抜きピン点検 ・押出ピン点検 ・ガイドブッシュ・ガイドピン点検 ・ボルト点検 ・チルベント・AVV点検 ・押出板A/B点検 ・スリーブ・分流子点検 ・シリンダーLS装置の断線・導通点検 ・その他部品点検 ・※シリンダーのオーバーホール(南武製のみ) |
母型点検&修正 | ・母型のヘタリ・腐食の点検 ・スリーブ当り面のヘタリ・腐食の点検 |
ダイスポ合わせ | ・新明丹・プラゲージにて確認 |
※帳票書類 |
・外観・冷却ホースの取り回し ・冷却ホース寸法 ・冷却穴隙間調査 ・鋳抜き突き出し量表 |
金型メンテナンスのプロセス
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- 初期診断と状態確認
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ダイカスト金型、LP金型のメンテナンスは、まず金型の使用状態や劣化レベルの診断から始まります。具体的には、以下のような点に注目して状態を確認します。
- 摩耗状態:キャビティやコア部品の摩耗が生じている箇所を確認し、次の射出工程に影響が出る可能性があるかを評価します。
- 割れ・欠けの有無:特に高圧に晒されるエッジやフィレット部分の亀裂、割れを入念にチェックします。
- 冷却ラインの詰まり:冷却ラインは製品の均質化を保つために重要です。詰まりが発生すると冷却不良が起き、部品の精度が落ちる原因となります。
- 腐食の進行:金型の長寿命化を目指すため、腐食箇所の確認と防止措置を行います。
これらの初期診断に基づき、適切なメンテナンス計画を策定し、必要に応じてオーバーホールを実施します。
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- クリーニングと部品の交換
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金型内部や外部に蓄積されたスラッジや残留物を除去することは、メンテナンスにおいて非常に重要です。クリーニングプロセスでは、特殊な洗浄液やブラシを使用して以下を行います。
- キャビティの洗浄:キャビティ内の堆積物や油脂を除去することで、製品の表面品質を安定させ、欠陥の発生を予防します。
- 冷却ラインの清掃:冷却ライン内のスケールやスラッジを取り除き、冷却効率を回復させます。
- 部品の交換:摩耗が進行したパーツは、長寿命な材質に置き換え、次の生産サイクルでの耐久性を強化します。 特に、ISKの技術者は金型の各部品について耐久性の高い素材の選定や表面処理の提案を行い、お客様の金型に最適な仕様を実現します。
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- オーバーホールと再組立て
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定期的なメンテナンスのほか、数年ごとにオーバーホールを行うことで金型の寿命を延ばし、より安定した製造が可能になります。ISKのオーバーホールは、分解、清掃、調整、再組立てといったステップを経て金型をほぼ新しい状態に戻します。
- 分解・清掃:分解した各パーツを徹底的に洗浄し、細かな部分の汚れや残留物を取り除きます。
- 摩耗部の修理・交換:長期使用によって発生した摩耗箇所を修正し、部品の寿命を延ばします。摩耗が深刻な場合は、部品の製造も視野に入れた対応を行います。
- 再組立て・調整:精密な計測をもとに各部品を再組立てし、最適な状態に調整。再組立後の品質検査も徹底して行い、次回使用時のトラブル発生リスクを最小限に抑えます。
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- 試運転と最終調整
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メンテナンスが完了した金型は、試運転を通して精度や製品の品質に影響を与えないかを確認します。このプロセスにより、金型が最適なパフォーマンスを発揮できるかを確かめます。
- キャビティ温度の測定と管理:試運転では金型内部の温度管理が重要です。温度ムラを最小限に抑え、各部の冷却バランスを調整することで、成形不良や歪みを防止します。
- 鋳造パラメーターの微調整:製品の形状や要求精度に応じて、鋳造圧や射出速度の調整を行います。